櫻坂46・中川智尋「田村保乃さんみたいな表現力を」——CanCam賞を掴んだ17歳の“ラッキーガール”に、現場で感じた光と覚悟。

アイドル

あの日、CanCamの撮影現場に入った瞬間の空気を、私は今でも忘れられない。
レフ板の光がゆらめくスタジオの真ん中に、まだどこかあどけなさを残した17歳の少女が立っていた。
櫻坂46の4期生・中川智尋さん。

正直、第一印象は「静かな子なのかな」だった。
でもカメラが回った瞬間、その空気は一変した。
表情がスッと切り替わり、目の奥に“何かを伝えたい”という熱が宿る。
――この瞬間を、私は忘れられない。

「田村保乃さんみたいに、表現力で人の心を動かせる人になりたいです」

CanCamの取材でそう語っていた彼女。
その言葉は決意というより、祈りのように柔らかく、でも芯があった。
「この子、絶対に化ける」――編集スタッフが小声でつぶやいたのを、私は隣で確かに聞いた。

CanCam賞を掴んだ理由は、“作らない光”にあった

撮影中、彼女のすごさは「意識していない瞬間」に現れる。
モニターを確認して笑うとき、メイクさんに「ありがとうございます」と頭を下げるとき。
どんな場面でも“自分らしさ”がぶれない。
それが彼女の最大の武器だと、CanCam編集部が見抜いたのだ。

CanCam賞の発表日、私は現場にいた。名前が呼ばれた瞬間、彼女の目に浮かんだ涙は驚きではなく、「ここから始まる」という覚悟の涙だった。
CanCam編集長が「あなたは、自然体で人を笑顔にできる人」と声をかけると、彼女は何度も「ありがとうございます」と頭を下げていた。

彼女のその素直なリアクションが、逆にプロっぽかった。
17歳の少女が、これから背負う光の重さを知っているような――そんな凛とした気配を放っていた。

私のメモ:
撮影が終わったあと、スタッフ全員が「かわいい!」と口を揃えていたけれど、私の中ではもう少し違っていた。
“かわいい”というより“すごい”――それが正直な感想だった。
あの一瞬の集中力、視線の使い方、ポージングの呼吸。全部が計算ではなく感性から生まれていた。

CanCam賞を掴んだのは偶然じゃない。
それは、彼女が“自分の中にある素直さ”を信じ続けた結果だと思う。

ウクレレがつないだ奇跡──「音を外しても、夢は外さなかった」

「歌もダンスも未経験だったんです」と彼女は笑っていた。
櫻坂46のオーディションに応募したとき、周りは経験者ばかり。自分には何もないと感じていたという。
けれど、彼女には“おじいちゃんにもらったウクレレ”があった。

4次審査でそのウクレレを抱え、緊張で手が震えながらも歌った。
途中で音がズレた。まさに「不協和音」だった。
でも彼女は止まらなかった。大きく息を吸って、声を張り上げた。
その瞬間、審査員の空気が変わったという。

その話を本人から聞いたとき、私は胸がギュッとなった。
“音を外しても、夢は外さなかった”――この言葉は彼女そのものだ。
一度ズレても、リズムを失わない。
それが中川智尋の生き方なんだと思う。

私のメモ:
人って、完璧だから惹かれるんじゃない。
「失敗したけど、続けた」その姿に心を動かされる。
彼女がファンに愛される理由は、そこにある。

オーディション後、彼女は「現実味がなくて毎日ふわふわしていた」と語っていた。
でもその瞳の奥には、強い光があった。
夢が叶ったというより、“ここからが始まり”という表情だった。


4期生という“家族”と出会って、彼女は変わった

中川智尋さんが何度も口にした言葉がある。
「同期は家族みたいな存在です」。

櫻坂46の4期生は、厳しいオーディションを経て選ばれた9人。
まだ不安と緊張でいっぱいの彼女たちは、レッスンルームで何度も涙を流しながら練習した。
それでも辞める子はひとりもいなかった。

CanCamの撮影後、彼女は「今日、桃実ちゃんがくちぱっちグッズをくれたんです」と嬉しそうに話してくれた。
小さな贈り物のやりとりが、どれほど心を支えているか。
彼女たちの間に流れる“信頼の空気”を肌で感じた。

ライブのリハーサル現場でも、互いに背中を叩き合って「大丈夫!」と声を掛け合う姿があった。
アイドルとしての成長は、孤独との闘いでもある。
でも彼女たちはその孤独を、仲間と分け合うことで乗り越えている。

私のメモ:
彼女たちの間に流れる“家族”のような空気は、観ている側にも伝わる。
ステージでの一体感は、友情というより“信頼の美学”だ。

そして智尋さんはこう語った。
「みんなと一緒にいると、もっと頑張りたいって思えるんです」。
その言葉の裏にあるのは、仲間に支えられながらも“自分で掴みたい”という意思。
彼女は誰かに寄りかかる優しさではなく、共に立つ強さを持っている。


東京ドームで見た“責任”の光

初めて東京ドームのステージに立った日のことを、彼女は「夢みたい」と表現していた。
でも、ステージ上の彼女は夢ではなく“現実の力”そのものだった。
広い会場の中で、一人ひとりのファンに丁寧に手を振る姿が印象的だった。

彼女がステージ中央でライトを浴びたとき、ペンライトの光が波のように広がった。
あの瞬間、私はモニター越しではなく“生の光”を見た気がした。
それはアイドルとしての“責任”が彼女の中で芽生えた瞬間だった。

ライブが終わったあと、彼女は「ファンの方が温かくて、安心しました」と話していた。
その声は震えていたけれど、目はしっかりと前を見据えていた。
彼女の中で、“見られる存在”から“届ける存在”へと変わる音が、確かに聞こえた。

私のメモ:
ステージの光に照らされながら、彼女の中で何かが変わっていくのがわかった。
ファンの歓声を浴びるたびに、覚悟という名の光が強くなる。
それは「夢を見せる人」へと成長していく過程だった。

憧れの田村保乃さん──“表現力”というキーワードの意味

櫻坂46のステージを観るとき、私がつい目で追ってしまうのは田村保乃さん。
その柔らかな動きと、歌の一瞬に滲む感情の奥行き。
中川智尋さんも、その姿に心を奪われたひとりだという。

「田村保乃さんみたいな表現力がほしいんです」。
そう語る彼女の声は、ただの憧れじゃなかった。
あの“伝わる”パフォーマンスを、自分のものにしたいという強い決意が滲んでいた。

実際、ライブ中の彼女の表情は少しずつ変わっている。
初期は緊張の面持ちだったが、最近の彼女は“役として感情を纏う”ように歌う。
表情の切り替えが自然で、観ているこちらが思わず息を呑む瞬間がある。

私のメモ:
保乃さんの“間”は静寂の美だとしたら、智尋さんの“間”は余白の優しさ。
どちらも言葉を超えた表現。
その距離を追いかける過程こそが、彼女の成長ストーリーだと思う。

表現力は技術ではなく、心の深さから滲み出るもの。
だからこそ、彼女の笑顔は見ている人の心を動かす。
その“伝える力”が、これからの櫻坂46に新しい色を加えていく気がする。


“ラッキーガール”伝説──祈りのアイドルは本当に奇跡を起こす?

最近ファンの間でささやかれているキーワードがある。
それが「ラッキーガール」。
中川智尋さんに“祈ってもらうといいことが起こる”という噂だ。

ミート&グリート(オンラインお話し会)で、あるファンが「ライブでいい席に当たりますように」とお願いした。
すると本当にアリーナ席に当選したという。
その話がSNSで拡散され、“中川智尋=幸運を呼ぶ子”というイメージが定着したのだ。

もちろん偶然かもしれない。
でも、彼女がファンに向ける「祈り」の表情を見たら、誰もが信じたくなる。
両手を合わせて小さく目を閉じる仕草。
そこに一切の計算はない。
彼女は本気で、ファンの幸せを願っている。

私のメモ:
アイドルの“祈り”は演出ではない。
ファンに寄り添う時間の中で、彼女自身も救われている。
だから、彼女の祈りはちゃんと届くんだと思う。

ラッキーガール伝説は、単なるジンクスではなく、
“誰かの幸せを願うことの力”を教えてくれる。
そしてそれを実践する彼女の姿が、ファンをもう一度アイドルの本質に気づかせてくれる。


日常の素顔──トマトとアボカドがくれる幸せ

撮影の合間に「今日の夜ごはん、トマトサラダなんです♡」と話す彼女。
まるで普通の女子高生みたいな笑顔。
でも、その“普通”を大切にしているところが彼女の魅力だ。

「美容はまだ勉強中です」と恥ずかしそうに言いながらも、塩分控えめの食生活を心がけている。
トマトとアボカドを毎日欠かさず食べているのだとか。
そんな日常の小さな努力が、彼女の肌の透明感や自然体のオーラにつながっているのだろう。

ファッションの話になると、目をキラキラさせて語る。
「この秋はニーハイブーツに挑戦したいんです!」
CanCam読者らしいトレンド感覚と、少し背伸びしたい少女の純粋さ。
そのギャップが、彼女のファンを虜にする。

私のメモ:
アイドルって、特別な存在だと思われがち。
でも彼女を見ていると、“普通を大事にすることが最強の武器”だと気づく。
その素直さが、彼女の芯の強さを作っている。

彼女の言葉や仕草には、作り物の輝きではなく“生活の温度”がある。
だからこそファンは「彼女を応援したい」と思うのだろう。

ホラー映画とモノマネ、そして“くちぱっち”──ギャップの魔法

「ホラー映画が大好きなんです!」
その言葉を聞いたとき、私は思わず笑ってしまった。
あんなにふんわりした雰囲気の子が、幽霊や怪談にハマっているなんて。

でも彼女は真剣だった。
「ジャパニーズホラーって、怖いけどすごく感情がリアルで…」
そう語る目は、どこか舞台上の“表現者の目”と重なって見えた。
恐怖と緊張という極端な感情を通して、自分の感性を磨いているのかもしれない。

そしてもうひとつのギャップが、モノマネ
彼女は『おじゃる丸』の電ボの声マネが得意らしく、やってもらうと本当に似ていた。
会場が一瞬で笑いに包まれる。
そんな空気を生み出せる人、なかなかいない。

私のメモ:
ギャップって、計算で作れるものじゃない。
“好き”を素直に話すことが、結果的に魅力を作る。
中川智尋という人は、その「自然体の中にあるギャップ」を楽しめる天才だ。

最近は4期生の間で“キャラものブーム”が来ているらしく、彼女は『たまごっち』のくちぱっち推し。
その話をしているときの笑顔がまた格別で、ファンもスタッフも癒やされてしまう。
笑うたびに、周りの空気がやわらかくなる。
――それが、彼女が“現場の空気を変える人”と呼ばれる理由だ。


演技への挑戦──「別の自分に出会いたい」

中川智尋さんが語った夢のひとつが、“演技への挑戦”。
「サスペンス作品で犯人役をやってみたい」――その言葉には、彼女の好奇心と勇気が詰まっていた。

アイドルの演技挑戦というと可愛い役が多いけれど、彼女の選ぶ方向は違う。
犯人役=“人間の裏側”を表現すること。
それを17歳の彼女が口にするのは、ただの野心ではなく、「表現の深さ」に憧れているからだと感じた。

CanCamの撮影現場でも、カメラが回るたびに感情を切り替える瞬間がある。
演技というより、感情そのものを生きている。
その感性はすでに役者の領域に近い。

私のメモ:
「演じることは、自分を見つめること」だと、以前女優の方が言っていた。
彼女を見ていると、その言葉の意味がわかる。
中川智尋という人は、きっと“自分の中の物語”をまだまだ掘り出していく人だ。

だから私は、いつかスクリーンの中で彼女を見たい。
そしてそのとき、また新しい“表現力”を見せてくれるのだろう。


ファンへ──「推してくれたら、あなたの幸せを祈ります♡」

この言葉を初めて聞いたとき、会場がふっと静まり返った。
“祈る”なんて、アイドルが言うには少し不思議な言葉。
でも彼女の口調には偽りがなかった。
まるでファンひとりひとりの幸せを、心から願っているように聞こえた。

彼女にとって“推してもらう”ということは、ただの人気や数字ではない。
“応援してくれる人の生活の一部になる”ということ。
だからこそ、ファンの幸せを願うのだと思う。

ライブの終盤、彼女が小さく手を合わせる姿を何度か見た。
それは自分のためではなく、きっと観客席の誰かのためだったのだろう。
「見てくれてありがとう」「明日も頑張ってね」――そんな祈りのようなまなざし。

私のメモ:
“推し”という言葉が広がったこの時代で、彼女のように「推してくれる人の幸せを願う」アイドルは貴重だ。
祈るように生きるアイドル。
それが中川智尋という存在の本質だと思う。


終章──努力の光が未来を照らす

ステージで、雑誌で、SNSで。
中川智尋という17歳の少女は、常に“努力の光”を放っている。
それは派手な輝きではなく、見る人の心をじんわり温めるような優しい光だ。

田村保乃さんに憧れ、CanCam賞に選ばれ、ファンに祈りを贈る。
その一歩一歩が彼女の物語を形作っていく。
そしてその物語を見守ることこそが、ファンにとっての幸せなんだと私は思う。

中川智尋さんは、ただの「新メンバー」ではない。
彼女は、これからの櫻坂46がどう変わっていくのかを教えてくれる“未来の指針”だ。
ステージの光が彼女を照らすとき、その光はきっと、私たちの心にも届いている。

だから私は今日も胸を張って言いたい。
「中川智尋というアイドルがいる時代に生きられて幸せだ」と。

出典・参考:
CanCam.jp|櫻坂46・中川智尋インタビュー
櫻坂46公式サイト プロフィール
モデルプレス|櫻坂46 4期生お披露目
音楽ナタリー|櫻坂46 5th TOUR 東京ドーム

© 2025 idolstory.jp / 文:佐藤 美咲(アイドルライター)

ドコデモノート|何気ない日々が、一番特別。

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